蓼科山

2月17日に蓼科山に登ってきました。前回、赤岩の頭へ星景を撮りに行った時に踝を痛めたため、短めのコースを選んだ次第です。

赤岩の頭で踝を痛めた理由ははっきりしています。さかいやスポーツ・シューズ館の店長さんによると、僕の場合、(特に右足の)かかと周りが他の部分に比べて小さく、靴の中で足の後ろの方が遊んで踝がこすれてしまうんだとか。インソールとかも少し細工してもらいましたが、「最後の手段はソックスの前半分を切ってかかとの部分だけ二重に履くことだよ」と言われ、その通りにしたら痛まなくなりました。ところが…。前回は赤岳鉱泉でテントを張った後、ソックスが汗で濡れていたため、「赤岳の岩まで往復するくらいなら大丈夫だろ!」と思ってソックスを重ね履きしませんでした。油断大敵ですね。登りの途中から早くも踝が擦れ始め、下山の時ははっきり痛むようになりました。翌日、赤岳鉱泉から駐車場までは腫れた踝がこすれるたびに痛みを感じ、時々声をあげながら歩くという情けないことに。右足の踝と靴の間に薄手の靴下を挟んだりしてみましたが、焼け石に水でした。

蓼科山では、まだ少し踝がこすれて痛んだものの、大過なく下山でき、その後の腫れもほとんどありませんでした。僕にとって半切りソックスの二重履きは必要不可欠、ってことが身に染みてわかりました(笑)

この日、移動性低気圧に覆われておだやかな晴天でした。(山頂は-8℃で風もそこそこあり、山頂にいた1時間は手袋の中にホカロンを入れてましたが…。) でも、ご覧のとおり、春霞っぽい天気と逆光で南八ヶ岳はかすんでいました。北アルプス方面も雲がかかっていたため、写真はあまり撮っていません。今回紹介するのもパノラマ2枚のみです。下の写真は蓼科山の広~い山頂。

赤岳と冬の大三角

2019年2月2日 20時32分頃 カメラ: NIKON D810A レンズ: Nikkor AF 20mm F1.8G(F2.8) ISO 3200  露出10秒 ※ソフト・フィルター有り(Lee 3)5枚、フィルター無し5枚をSequatorでそれぞれ処理し、さらにPhotoshopでマスク合成。 Software: Photoshop & Lightroom

現像に手間取ってしまいましたが、2月2日に赤岳鉱泉に泊まった夜、赤岩の頭の下まで行って撮った星景写真を載せます。雲が何度も出ましたが、この前後は少し星空が広がってくれました。行く前は赤岳天望荘の灯りがもっと目立つかと思っていましたが、そうでもありませんでした。甲府方面の光害で天望荘の灯りが目立たないという面もあるのでしょうね。 星も山も、美しい夜でした。

ついでに、もう少し早い時間に15mmで撮った写真も載せておきます。これは前回、Photoshopによる滲み処理の作例で載せたものと同じファイルで滲ませ加減を弱くしたものです。この時は15mm用の前面ソフト・フィルターを使わなかったため、フィルター有り無しの作品はありません。今になってとても後悔しています。

2019年2月2日 20時03分頃 カメラ: NIKON D810A レンズ: Zeiss Distagon 15mm F2.8(F3.2) ISO 3200 露出13秒 ※フィルター無し7枚をSequatorで処理し、Photoshopで輝星に滲みを付加。 Software: Photoshop & Lightroom

星景写真におけるソフト・フィルター考②

間が空きましたが、前回に続いてソフト・フィルターについて述べてみます。今回は、14-15㎜の超広角レンズを使った星景写真で星を滲ませる方法についてです。

やり方は大別して三つ。①レンズ前面にソフト(ディフュージョン)フィルターを着ける、②レンズの後玉とカメラの間にソフト・フィルターを着ける、③フィルターなしで撮ってソフトウェアで星をぼかす、です。

1. レンズ前面にソフト・フィルター

これは前回書いたのと同じやり方です。ただし、問題が2つあります。

1つは、この焦点距離になると最前部のガラスが大きく凸状に丸くなり、フィルターを付けられないレンズがほとんどなこと。ニコンの14-24㎜、シグマの14㎜ F1.8など、名だたる星景用神レンズも例外ではありません。レンズ前面にフィルターを着けたければ、ZeissやLaowaの15㎜くらいしか選択肢がないのが現状です。(今後ニコンやキャノンが発売するミラーレス用ズームには、14-15㎜スタートで前面にフィルターを着けられるものがあるようです。注目したいですね。)

2つめの問題は、レンズ前面にソフト・フィルターを着けると、画面の中心から離れたところで明るい星の滲みが外側に向かって箒状になることです。西岳の写真をご覧ください。左上の輝星(ぎょしゃ座のカペラ)の形、ちょっとなあ…と思います。

2. レンズ後部にソフト・フィルター

レンズの前にソフト・フィルターを着けられないなら、後ろに着けてしまえばいい、という発想です。この場合、フィルターはガラス製ではなく、樹脂製のペラペラのもの(Leeが有名です)を切って両面テープなどで貼り付けます。

この方法のいいところは、レンズを選ばないことのほか、前面にソフト・フィルターを着けたときに周辺部で見られる箒状の光茫ができないことです。浅間山とのコラボ星景をご覧ください。周辺部の星の光茫も綺麗に滲んでいますね。星の滲み方を最重視するなら、この方法は一押しです。

でも残念ながら、この方法にも欠点がないわけではありません。ソフト・フィルターを使えば当然、前景もボケます。雪山のきびしさが先鋭に写らなかったり、街の明かりの光芒が必要以上に広がって興ざめになったりすることも…。次の2枚は同じ露出時間で撮ったものですが、ソフト・フィルターを着けて撮った2枚目はスキー場の灯りがすごいことになっています。(作例は35mmでフィルターをレンズ前面に着けて撮ったものですが、フィルターを超広角レンズの後部に着けても同じようなことになります。)

前回も述べたとおり、私は「星像を滲み、前景はクッキリ」という星景写真をめざしているため、ソフト・フィルターを着脱しながら撮影したいと思っています。ところが、レンズ後部にソフト・フィルターを着けるやり方では、この手法はとれません。(来週、キャノンからミラーレス・フルサイズ用にドロップイン・フィルターを使えるマウントアダプターが出るようです。作例が出るまで確たることは言えませんが、クリア・フィルターにLeeの樹脂製フィルターを貼り付けてやれば、レンズ後部でのソフト・フィルター着脱ができるんじゃないかと期待しています。ただし、相当な出費を覚悟しなければいけませんし、ミラーレス用の新型レンズは使えない前提となります。)

3. Photoshopで星像をぼかす

デジタルの時代、ソフト・フィルターがなくても星像を(星像だけを)滲ませることが可能になりました。私も、こちらこちらのサイトを参考にしてPhotoshopによる星像ボカシにトライしてみました。

現段階の私の結論は、うまくいく場合と行かない場合がある、というものです。パラメーターをいじったりしてみましたが、何か不自然な感じが否めません。星の彩度もそのままでは落ちてしまいます。私のレタッチ能力が低いせいもあると思いますが・・・(苦笑)

下の写真はこのやり方で星のみを滲ませた写真です。もっと弱く滲ませれば自然になる一方で星は目立たなくなり、塩梅がむずかしいです。将来の進化に期待しつつ、当面は別な方法が中心になりそうかな。

4. マイ・ウェイ(トライ&エラー)

というわけで、私自身は「これが決定版」という方法にたどり着いていません。そのことをお断りしたうえで、私の現在の撮り方をご紹介して、この長いポストを終わりにします。

レンズはDistagon 15mmで前面にフィルターを着けられます。フィルターはプロテクターにラッカーを吹き付けた自作です。このセットでフィルター有りとフィルター無しで撮影し、前景はフィルター無し、星野はフィルター有りをメインにPhotoshopでマスク合成。周辺部の輝星が箒状上になっている部分については、ブラシツールであまり目立たないように仕上げます。下の1枚目はソフト・フィルターを前面に着けて撮った写真(現像上の細工はしていますが詳細は省略します)。2枚目はフィルター有り無しで撮ってマスク合成した写真。わかりにくいかもしれませんが、カペラやポルックス、カストルを見れば、完全ではないものの同心円状の滲みに近づいています。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

雲の切れ間に~大犬と八ヶ岳 (SEQUATORと雲について)

2019年2月2日 20時48分頃 
NIKON D810A AF-S 20mm F1.8G (F2.8) ISO 3200 露出10秒
星野部分は6枚をSEQUATORで合成し、前景はPHOTOSHOPで加算平均合成。
Software: Adobe Lightroom Classic & Photoshop

赤岳鉱泉にテント泊し、夕方から赤岩の頭に向けて登ったときに撮った星景写真です。稜線上は風の音がしていたので、赤岩の頭のすぐ下のルート上に赤岳方面の視界が開けたこの地点から撮影しました。この日は日中快晴でしたが、日没とともに雲が湧いてくる天気でした。1時間ほどかけてわずか3カットだけ撮りましたが、雲が増えて星の位置も変わってきたのでこれを最後に下山しました。大犬(シリウス)は八ヶ岳にとても似合うと思いました。

私は星景撮影でSEQUATORというソフトをよく使います。星像を固定しながら複数枚のファイルを重ね(スタックし)、高感度撮影に特有なノイズを減らす一方、地上風景もぶらさないという便利なソフトです。部分的に星像がうまく重ならないで線になってしまうことも時にありますが、フリーソフトなので文句を言ったら罰が当たりますね(笑)。 このカットでは、さすがに手前の木はうまく合成できないだろうと思いましたが、拡大しても問題ありませんでした。

さて、この便利ソフトですが、雲が多い時は少し悩みます。SEQUATORによって星と地上部は固定されても、雲だけは(上の写真では60秒分)流れて写るからです。不自然と思い始めれば、気になります。日周運動を長秒で撮っても雲はやはり流れて写りますが、星も線になるので不自然に感じません。

ちなみに、上の写真の星野部分を一枚撮りに差し替えたのが次の写真です。雲の形が10秒分だけ写っているため、目で見た感じに近いのはこちらの方。ISO3200くらいなら、ノイズ除去ソフトを使えばそんなにざらざらしていません。(もちろん、拡大して見ればSEQUATORを使った方がきれいですが。) どっちがいいのか、試行錯誤やケース・バイ・ケースで決めることになると思います。

 

赤岳鉱泉の夜~冬の星座

2019年2月2日22時26分~32分  D810A Distagon 15mm F2.8 星空=F3.2 13秒 ISO3200 5枚をSequator 処理。 前景=同上、F値とISOを変えて撮ったファイルをPhotoshopで合成。

先週末、赤岳鉱泉でテント泊してきました。この日はアイスキャンディー・フェスティバルでにぎわっていました。夕方から星景撮影に出かけ、夜戻ってきてみたら、静寂の中、アイスキャンディーの向こう、阿弥陀岳の上に冬の大三角が・・・。思わず、カメラを取り出して撮影したカットです。人工物の入った星景写真は好みではありませんが、これは自然の厳しさの中で鉱泉の灯りに照らされる氷の柱が妙に暖かく感じられ、わりと気に入っています。

今回は踝を痛める不覚をとってしまい、翌日は靴と擦れてひりひりする足を騙しながら何とか八ヶ岳山荘の駐車場まで下山しました。写真撮影のために山を始めて4年たちますが、体力の衰えを止めるのがやっとで、なかなか山歩きの力がつきません。でも、自然の中に入ってこういう写真が撮れたりすると、苦労してもいいからまた行こう、と思ってしまいますね。