星景写真におけるソフト・フィルター考①

このブログでも時々、写真撮影の機材や星景写真の撮影方法についても半ば備忘録的に書いていきたいと思います。私もいろいろな人のホームページを参考にさせてもらってきましたので、反面教師になることを含め、少しでも参考になれば幸いです。

撮影手法カテゴリーの第一弾は、星景写真におけるソフト・フィルター(ディフュージョン・フィルターとか、滲みフィルターとも言われますね)またはその代替手法について書きます。星景写真とは、星と風景を同一構図内に収めた写真、と定義して話を進めますね。

デジタルカメラで星を撮ると、星がとても小さく(鋭く)写ります。例えば、人間の目で見た時の「星がまたたく」なんて感覚は写真ではわかりません。しかも、暗い空に高ISOで撮ると肉眼では見えない星まで写るため、星座を構成する明るい星が埋もれてしまい、よくわからない写真になります。下の写真は西湖から見た冬の星座をソフト・フィルターなしで撮ったものです。星座をある程度知っている人でないと、星座をたどりにくいんじゃないでしょうか?

そこで、天の川とかを綺麗に写そうと思う時や日周運動を撮る時以外は、ソフト・フィルターを使って明るい星を目立たせることが多いのです。フィルターの前につける場合だと、ケンコーのプロソフトンAが定番のようですが、効果が1種類しかありません。Leeだと滲み加減が1番から5番まで選べます。(ただし、2番と4番はバラ売りがないようです。) これをポリエステル製なので丸く切ってレンズ・プロテクターに貼って使います。次の写真は、上と同じ構図でソフト・フィルター(Leeの3番)をレンズの前につけて撮ったものです。これだと輝星がはっきりして星座がわかりやすく、何よりもゴージャスになって絵が引き立ちますよね。

多くのサイトではここで解説終了です。でも、私がめざすのは「星は滲み、地上風景はくっきり」の星景写真なのでまだ終わりません。当然ですが、ソフト・フィルターをつけると星以外の部分も含め、画面全体が滲んでしまいます。上の写真を見ても、前景のボートや街灯がぼやけてしまっていますよね。で、いろいろやってみた結果、最近はソフト・フィルターをつけて撮った星空の部分とフィルターなしで撮った前景部分をPHOTOSHOP等を使って合成する手法に落ち着きました。それが下記の写真(昨年12月29日にアップしたもののオリジナル)です。「星は滲み、地上はくっきり」になっていると思います。

以前は(人によっては今も)合成手法を使った写真を認めない風潮が強かったようです。でも私は、「あり」だと考えます。合成手法を使った写真であることを明記し、それを理解したうえで鑑賞してくれる人に見てもらう、というスタンスです。ただし、合成する写真の間隔が長くなると、トリックと言われても仕方ないでしょう。そこでマイ・ルールとして、フィルターあり・なし写真を撮るときは概ね1~2分以内で一連の撮影を終えるようにしています。

とりあえず、今日はここまで。次回は、超広角レンズを使うときの星の滲ませ方について、私の試行錯誤した経過をご報告したいと思います。

浅間山とオリオン(2年前)

 

2017年01月22日00:01:51 カメラ:D810A レンズ:AF-S 35mm F1.8G(F2.8) 露出:8秒 ISO:3200 星空は滲みフィルターあり2枚とフィルターなし3枚、地上部はフィルターなし7枚をPhotoshopで加算平均。

前回のポストは先週行った前掛山でした。実は、賽の河原あたりにテントを張って星景を撮ろうと思っていましたが、浅間山荘の方に「国立公園だからテントは1年中禁止です」と言われ、断念しました。私の理解が間違っているかもしれませんが、公園でのテントが(許可された場所を除いて)法律で禁止されていることは知っていますが、冬期は慣例上許されているところも少なくないと思っています。でも、地元の人にダメだと言われれば強行できません。潔く、テントやフルサイズ一眼、レンズを車に置き、でかいザックで日帰りしました。どうしても星景を撮ろうと思ったら、条件の良い時にナイトハイクでピストンするしかありませんね。

そのかわり、と言ってはなんですが、2年前に浅間牧場から撮った浅間山星景をアップします。D810Aで撮った第1号だったような気がします。このときは火山活動が活発で火映が写っています。前回アップした写真の反対側(浅間山の北西)からになります。

浅間山(前掛山)

2019年1月13日14時26分  Fuji Film X-E3 / XC16-50mm(21.1mm)

今年最初の山登りは浅間山に行ってきました。と言っても、本当の浅間山は火山活動のため登山禁止。その外輪山である前掛山までしか行けません。昨年8月まで噴火警戒レベルが2だったため、前掛山もしばらく登山禁止になっていたそうです。
前掛山の全景を下からパノラマで写してみました。

カメラのパノラマ機能を使って撮影。

左側の足跡の先から左方向に登っていきます。途中はこんな感じです。太陽がしつこいですかね?


登りつめて行くと最初の写真に戻ります。左の雲の下が前掛山の頂上です。強風のことが多いみたいですが、今日は微風で助かりました。
で、前掛山頂上の手前から見た本当の浅間山がこれ。噴煙もくもく、雄大です。

16mmで撮った5枚をLightroomでパノラマ合成。

今回は浅間山荘登山口から登りました。四季折々、訪ねてみたいですね。

裏那須の雪山

2018年1月13日11時49分 
SONY ILCE-7M2 / T* FE24-70mm F4 ZA OSS(38mm)  F8 1/1600 sec ISO100  現像:Lightroom

今年はまだ山に行けていないので、去年の今頃撮った山の写真を載せてみます。

三本槍岳から見た、大倉山・流石山・三倉山です。二週間前に暴風で途中敗退した後、この日は穏やかな好日で、本当に気持ちよかったのを思い出します。

 

三ツ頭と冬の星座

2018年12月30日 22時12分頃
NIKON D810A / Distagon 15mm F2.8 : F3.2 15秒 ISO3200
自作滲みフィルター付き7枚をSequatorで合成処理し、PhotoshopとLightroomで現像。

三ツ頭で年末に撮った冬の星座です。
もう少し先に行けば富士山が見えたはずなんですが、風が強いのと寒いのとでテントの傍から離れる気がしませんでした。
正月休みは一泊くらいして星撮りしたいと思っていましたが、何かと雑用があって果たせませんでした。焦らず、でもチャンスは逃さない姿勢で今年は山と星を楽しみたいと思います。

2019年迎春~南八ヶ岳主群と北天

2018年12月30日22時23分頃
D810A / Distagon 15mm(F2.8) F 3.2 露出15秒 ISO 4000
自作滲みフィルター付き7枚をフィルター無し7枚をそれぞれSequatorで処理。
現像等にはPhotoshopとLightroomを使用。

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

12月30日の夜、三ツ頭でテント泊して星を撮ってきました。当日は冬型が少し緩む(等高線が広がる)という予報。実際、日中は風も弱く穏やか。安心してテントを張りましたが・・・、舐めてました。
日が傾くにつれて風が強まり、テントが飛ばされないか心配になる有り様。気温もテント内で最低-21度。カメラのバッテリーはどんどん駄目になり、三脚も「ぶれてるかな?」と心配しながらの撮影でした。撮れた構図はわずか2カットのみ。
山の体力・技術・知識、星撮りの実践について、反省と学ぶことが多い年の瀬の山行きでした。

写真は八ヶ岳オールスターズと北天の豪華な共演です。
権現から赤岳まで、三ツ頭から望むこの構図は本当に素晴らしいと思います。今年はまだ雪が少ないんでしょうか? 北斗七星、小北斗、カシオペアにおまけで二重星団(カシオペアの上)とアンドロメダ大星雲(画面左上隅)も写っています。
本当はこの後、同じ構図で北天日周運動を撮ろうと思っていたんです。でも、待機時に三脚が風で倒されたため、めげて諦めました(苦笑)。いつになるか、移動性高気圧のときに再トライしたいと思います。

翌朝、三ツ頭から (Fuji XE-3  /  XC-16-50mm)

冬の大三角~西湖に傾く

2018年12月16日 3時58分頃
NIKON D810A + AF-S 20mm F1.8G F3.2 露出13秒 ISO 3200
※ 星野=滲みフィルター(Lee 3)あり4枚となし1枚をSequator処理。前景はフィルターなし5枚を加算平均して Photoshopでマスク合成。その後、PhotoshopとLightroom で現像。

雪頭ヶ岳から降りてきて高速に戻る途中、西湖の東岸で冬の大三角が沈んでいくのが見えました。車を止め、岸辺のボートを入れて撮った一枚です。
西湖からは根場でないと富士山星景は撮れないみたいですね。でも、山に挟まれた空間にオリオン、大犬、子犬がぴったりはまり、アルデバラン(おうし座)もぎりぎり残っていて、割りと気に入っています。

富士山と冬の大三角~雪頭ヶ岳より

2018年12月15日23時59分前後 
D810A / AF-S 20mm F1.8 (F2.8) / 13秒 / ISO3200
※「Lee3フィルターあり5枚と同なし1枚」と「その逆」をSEQUATORで合成し、Photoshopで統合。スキー場の明かりはISO800で露出を落としたものをPhotoshopでマスク合成

前回の続きです。星に合わせた露出のままだと、スキー場の明かりが富士山の山際を超えて空まで届き、見られたものではないため、苦肉の策を弄してここまで持ってきました。

  

富士山と冬のダイアモンド

2018-12-15 23:30頃 
Camera:NIKON D810A LENS:SIGMA 15MM Fisheye F2.8 (F3.5)  
星野:(20秒・ISO 3200)×7枚をSequatorで合成 
前景:ISOとF値を変えた4枚をマスク処理 
Software:Photoshop & Lightroom Classic 

西湖から雪頭ヶ岳にナイトハイクして撮影。
ホームページにスキー場のナイターは翌週末開始と書いてありましたが、この夜は零時過ぎまで煌々と輝いていました。普通に撮ったら興ざめもいいところだったので、地上部はF値とISOを変えて暗く撮ったものとマスク合成しました。当日は気温-9度なれど、風がほとんどなく、ただただ強烈なナイター照明が残念。 
魚眼でもスバルの下にウィルタネン彗星が写っていたのにはちょっとびっくりです。

ギボシから望む

2018-11-24 10:20   Fuji X-E3   XC 15-45mm (15.6 mm)  F 8   1/680 sec   ISO 200
Software: Photomatix / Adobe Photoshop Lightroom Classic

初冬の穏やかな一日、ギボシから権現岳、三ツ頭、富士山を望みました。 厳しさよりも優しさ――。こんな日もあっていいじゃないか、と思いながらシャッターを押した一枚です。

下は同じ時に撮ったパノラマです。阿弥陀岳、赤岳など八ヶ岳の主脈から権現岳、遠景は左端に蓼科山、右端に富士山がぎりぎり写っています。