星景写真撮影方法について(ご質問への回答)

大変ご無沙汰しております。

 先日、EOS Rでソフトフィルター有り無しの撮影方法についてKさんから質問を頂きましたので久しぶりに更新します。

 私のやり方は以下のとおりです。

〇カメラボディ=EOS R(IR改造)
〇レンズ=Canon EFマウント
〇マウントアダプター=ドロップインフィルターマウントアダプター EF-EOS R 円偏光フィルター A付(可変NDフィルター付きでも構わない)
 円偏光ドロップインフィルターは使わず、マウントアダプター部のみを使用します。私のように風景撮影をしない場合、痛い出費です。キャノンがアダプター本体のみでも売ってくれるといいのですが、やらないでしょうね・・・。
〇ドロップインクリアフィルター=キャノン純正×2個。
 1つはそのまま使い、もう1つにはLeeのフィルターを貼り付けて適宜交換します。フィルター交換に伴うピント調整は不要です。
 星を滲ませたくない撮影の時でもクリアフィルターは使わないとピントが狂う(合わない?)みたいですね。なお、Leeのフィルターはフィルム状のため、厳密にはフィルター交換に伴ってピントがズレるはずですが、実際上は(私の場合)無視できます。

これでご理解いただけましたでしょうか? メールで返信せず、こちらに載せました。写真付きで解説すればわかりやすいと思いましたが、時間がなくてすみません。相当な出費を伴ううえにうまくいくかわからず、人柱になって試すまでに相当迷いました。結果的には私のブログにあるくらいの写真は撮れます。お役に立てれば幸いです。

 4月、コロナで緊急事態宣言が出たため、しばらく山へ行けなくなりました。別に登山自体が悪いわけではなかったと思いますが、私の住んでいるところからだと100㎞圏内で行ける適当な山がなく、それ以上遠くの(人気のない)山へ行こうかとも思ったんですが、家族の白い眼に耐えられず断念しました(苦笑)。合わせて星景写真もご無沙汰となってしまい・・・。
 8月以降、山の方は月に一度くらい行くようになりました。星景写真の方は天気も悪くてまだ再開できていません。

 4月から転職した影響もあり、以前よりもさらにペースダウンするとは思いますが、山も星もやめるつもりはありません。ブログの更新もボチボチ再開したいと思ってはいます。

それでは、また。 皆さんもお元気で。

駿河湾に沈む冬の大三角

2020年2月23日 23時08分頃 カメラ:EOS R(HKIR改造) レンズ:Sigma 14-24mm F2.8 (20mm、F2.8)  露出10秒 ISO 6400  ※「フィルターなし6枚」と「ソフト・フィルター(Lee 3)あり1枚+フィルターなし5枚」をそれぞれSEQUATORでスタックし、Photoshop、Lightroomで処理。

西伊豆で行ったEOS R(HKIR改造)テスト撮影の続きを載せます。

西伊豆から駿河湾に沈む冬の大三角。手前の明かりは宇久須の街並みです。

清水方面の光害がひどいですが、これはこれでありかと。
Flat Aide Proでレベル補正やカブリ補正を試みましたが、冬の天の川がはっきりしなくなったため、使わないバージョンを載せています。補正のやり方がいろいろありそうですが、星野写真の画角で今回のように明暗差が強いと、私の手には負えません。

2020年2月23日 22時45分頃
カメラ:EOS R(HKIR改造) レンズ:Sigma 14-24mm F2.8
(14mm、F3.2) 露出10秒 ISO 6400 
※「フィルターなし7枚」と「ソフト・フィルター(Lee 3)あり1枚+フィルターなし6枚」をそれぞれSEQUATORでスタックし、Photoshop、Lightroomで合成処理。街の部分には ISO3200、ISO1600で撮影したものを使用しています。

こちらは14mm、横構図で撮ったものです。

カペラが「箒」状になっていないのは、EOS Rのマウントアダプターでドロップインフィルターを使っているためです。手前と湾越しの街の光は、ソフトフィルターなしでくっきり。これがシステム変更に踏み切った最大の狙いでした。
ちなみに、ソフト・フィルターだけだとこんな感じになります。

こうして並べてみると、ソフト・フィルター有りの画像だけだと、街の明かりがつぶれて、肉眼で見た時と違いすぎるのがわかります。

人間の眼とは不思議なもので、星の部分はソフト・フィルター有り、それ以外はソフト・フィルターなしの画像を(特に記憶の中では)脳の中で自動的にブレンドしているような気がします。

それから、合成した時のソフト・フィルター効果の付け方には、試行錯誤して改善する余地がまだまだありそうですね。SEQUATORの「Enhance Star Light」をオンにすると、滲みは弱くなるみたいです。

EOS R + ドロップインフィルター による星景写真(テスト)

三連休中日の23日、西伊豆に出かけて新しく導入した星景写真撮影のシステムをテストしてきました。最近、日常がバタバタしているので更新に時間がかかるかもしれませんが、追々ご紹介していきます。

従来、カメラはニコンのD810Aを愛用し、レンズ前面にソフトフィルターを着けたショットで輝星を滲ませた写真とフィルターを着けずにクッキリ写した写真をPhotoshopで合成していました。

新しいシステムでは、キャノンのEOS R(←早田カメラさんでHKIR改造してもらいました)と「ドロップインフィルターマウントアダプター EF-EOS R」をセットで使い、レンズとカメラの間でソフトフィルターの着脱を行います。

D810Aには何の不満もなかったのですが、ソフトフィルターをレンズ前面に着けると、広角では画面周辺部で輝星が箒のように滲み、あまり美しくありません。また、魚眼レンズでは前面にフィルターをつけられないため、ソフトフィルターの有り無しで撮影することはできません。(ツァイスのDistagon 15mmなど一部の例外を除けば、14-15mmの超広角レンズでフィルターを着けられるものはありませんね。)

一昨年EOS Rが発売されたとき、ドロップインフィルターを使えるマウントアダプターが出るとアナウンスされました。キャノンが想定しているのは、NDフィルターや偏光フィルターの使用です。私は「クリアフィルターにLeeのソフトフィルターを貼り付ければ、箒問題は片付くし、魚眼でもフィルター着脱ができるんじゃないか?」と思いました。
でも、それを確かめるためには時間と費用が相当かかってしまいます。「誰かがテストしてくれないかなぁ」と思いながらネットで探していましたが、いつまで経っても見つけられません。とうとう我慢できず、自分でテストしてみることにしました。

ファースト・インプレッションは、「よし、いけそうだ」という感じでした。

魚眼レンズに新システムでLee3フィルターを着脱し、Photoshopで合成したものが冒頭の写真です。(ノイズを減らすため、Sequatorも使っています。)
前景や冬の天の川等はフィルター無しでシャープに、輝星は滲んで星座の形がわかりやすくなっています。
魚眼の場合はソフトフィルターがもう少し強くてもいいかもしれませんが、その辺はこれから改善していこうと思います。

これだけでは「何が良いの?」でしょうから、以下にフィルター無しの写真とフィルター有りの写真を載せておきます。

(フィルター無し)
(フィルター有り)

スマホで見る分には、フィルター有りの画像が一番メリハリがあるように思われるかもしれません。でも、画面全体にソフトフィルター効果がかかっているため、パソコンで拡大してみると、天の川などではシャープさの欠如が一目瞭然です。また、この前景ではわかりにくいですが、雪山などだとソフトフィルターを着けて撮った写真の前景は明らかにディテールが失われているのがわかります。

とりあえず、今日はここまでにします。

モザイク星景テスト②~左右(失敗)編

前回は15㎜で上下方向へ2構図、MicrosoftのImage Composite Editor(ICE)を使ってモザイク合成を試み、まずまずの結果が出ました。上下方向は星が動いても星同士をつなげばいいので難易度は低い、という予想が裏付けられた形です。

では、左右のモザイクはどうでしょうか? こちらは地上風景を入れた構図では撮影時間によって地上風景と星の位置関係が同一構図内で変わるため、難易度は上がるはず。それでも、ネットで見ているとICEがうまく処理してくれるという記事を見たので、「ICEなら何でも魔法のように解決してくれるのかな?」と期待してトライしてみました。

結果を先に言うと、失敗しました。ただし、今回のテストは撮影時からモザイク合成を意図したものではありません。2構図の撮影間隔は15分もあり、地上風景の高さがはっきりずれているという悪条件の下で行っています。次回はもっと撮影間隔を詰め、構図もほぼ水平に移動させてトライしたいと思います。

というわけで今回の記事は失敗の備忘録です。興味のある人だけお読みください。 “モザイク星景テスト②~左右(失敗)編” の続きを読む

房総を昇る冬のダイヤモンド(モザイク星景テスト①)

2019年9月7日 3時15分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8(絞りF3.2)露出13秒 ISO 6400

9月に伊予ヶ岳で撮った写真を素材にして、かねてからトライしようと思っていた星景モザイク撮影をやってみました。上の写真がその結果です。(この手法、パノラマ撮影と言うべきなのかもしれませんが、私、モザイクとパノラマの違いがよくわかっていません。ただ、私の場合はそれほど広範囲に合成するわけではないため、モザイクという言葉を使っています。)以下、順を追って説明します。 “房総を昇る冬のダイヤモンド(モザイク星景テスト①)” の続きを読む

非魚眼化

やっと時間がとれるようになり、梅雨ももうすぐ明けるはず。今週末は「行くぞ!」と気合いが入っています。が、今朝になって、熱帯低気圧(←台風になるかも)が関東に接近するという予報が出てきました。希望はまだ捨てていませんが、ガックリきています。

さて、天気が悪い間、いろいろ妄想しておりましたが、今日はその一つをご紹介します。それは魚眼レンズの非魚眼化(defish)です。魚眼レンズで撮ると、広範囲が写りはするんですが、典型的には下のように大きく湾曲してしまいます。 “非魚眼化” の続きを読む

茶臼岳、朝日岳と冬の大三角

2019年3月2日 21時18分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:Nikkor AF-S 20mm F1.8G 絞りF2.8 露出10秒 ISO 4000 「フィルター有り6枚+フィルター無し1枚」と「フィルター無し7枚」をそれぞれSEQUATORで合成し、その後、Photoshop&Lightroomで合成及び現像処理。

今回も3月2日に赤面山で撮影した星景写真を紹介します。

那須岳(茶臼岳)、朝日岳を前景にした冬の大三角です。左下方向は那須の街灯りで明るいですが、ほぼ思っていたイメージで撮ることができました。個人的にはかなり満足感の高い1枚となりました。

※ 過去に記した撮影データについて補足説明することがあります。私はソフトフィルター有りと無しとで複数枚撮影し、それぞれをSEQUATORでスタックしてからPHOTOSHOPで合成することが多いです。そのプロセスを例えば、「フィルター有り・無しで7枚を撮影してそれぞれSEQUATORで処理し・・・」と記載していました。でも、最近気づいたのですが、これは正確ではありません。実際には〈フィルター有り6枚とフィルター無し1枚〉と〈フィルター無し7枚〉の2セットをそれぞれSEQUATORで処理しています。(その際、PHOTOSHOPで合成する際の位置合わせのため、共通するフィルター無しの1枚を基準画像にします。) 申し訳ありませんが、過去の撮影データについては、この説明を以って読み替えて頂きますようお願いします。

星景写真におけるソフト・フィルター考②

間が空きましたが、前回に続いてソフト・フィルターについて述べてみます。今回は、14-15㎜の超広角レンズを使った星景写真で星を滲ませる方法についてです。

やり方は大別して三つ。①レンズ前面にソフト(ディフュージョン)フィルターを着ける、②レンズの後玉とカメラの間にソフト・フィルターを着ける、③フィルターなしで撮ってソフトウェアで星をぼかす、です。

1. レンズ前面にソフト・フィルター

これは前回書いたのと同じやり方です。ただし、問題が2つあります。

1つは、この焦点距離になると最前部のガラスが大きく凸状に丸くなり、フィルターを付けられないレンズがほとんどなこと。ニコンの14-24㎜、シグマの14㎜ F1.8など、名だたる星景用神レンズも例外ではありません。レンズ前面にフィルターを着けたければ、ZeissやLaowaの15㎜くらいしか選択肢がないのが現状です。(今後ニコンやキャノンが発売するミラーレス用ズームには、14-15㎜スタートで前面にフィルターを着けられるものがあるようです。注目したいですね。)

2つめの問題は、レンズ前面にソフト・フィルターを着けると、画面の中心から離れたところで明るい星の滲みが外側に向かって箒状になることです。西岳の写真をご覧ください。左上の輝星(ぎょしゃ座のカペラ)の形、ちょっとなあ…と思います。

2. レンズ後部にソフト・フィルター

レンズの前にソフト・フィルターを着けられないなら、後ろに着けてしまえばいい、という発想です。この場合、フィルターはガラス製ではなく、樹脂製のペラペラのもの(Leeが有名です)を切って両面テープなどで貼り付けます。

この方法のいいところは、レンズを選ばないことのほか、前面にソフト・フィルターを着けたときに周辺部で見られる箒状の光茫ができないことです。浅間山とのコラボ星景をご覧ください。周辺部の星の光茫も綺麗に滲んでいますね。星の滲み方を最重視するなら、この方法は一押しです。

でも残念ながら、この方法にも欠点がないわけではありません。ソフト・フィルターを使えば当然、前景もボケます。雪山のきびしさが先鋭に写らなかったり、街の明かりの光芒が必要以上に広がって興ざめになったりすることも…。次の2枚は同じ露出時間で撮ったものですが、ソフト・フィルターを着けて撮った2枚目はスキー場の灯りがすごいことになっています。(作例は35mmでフィルターをレンズ前面に着けて撮ったものですが、フィルターを超広角レンズの後部に着けても同じようなことになります。)

前回も述べたとおり、私は「星像を滲み、前景はクッキリ」という星景写真をめざしているため、ソフト・フィルターを着脱しながら撮影したいと思っています。ところが、レンズ後部にソフト・フィルターを着けるやり方では、この手法はとれません。(来週、キャノンからミラーレス・フルサイズ用にドロップイン・フィルターを使えるマウントアダプターが出るようです。作例が出るまで確たることは言えませんが、クリア・フィルターにLeeの樹脂製フィルターを貼り付けてやれば、レンズ後部でのソフト・フィルター着脱ができるんじゃないかと期待しています。ただし、相当な出費を覚悟しなければいけませんし、ミラーレス用の新型レンズは使えない前提となります。)

3. Photoshopで星像をぼかす

デジタルの時代、ソフト・フィルターがなくても星像を(星像だけを)滲ませることが可能になりました。私も、こちらこちらのサイトを参考にしてPhotoshopによる星像ボカシにトライしてみました。

現段階の私の結論は、うまくいく場合と行かない場合がある、というものです。パラメーターをいじったりしてみましたが、何か不自然な感じが否めません。星の彩度もそのままでは落ちてしまいます。私のレタッチ能力が低いせいもあると思いますが・・・(苦笑)

下の写真はこのやり方で星のみを滲ませた写真です。もっと弱く滲ませれば自然になる一方で星は目立たなくなり、塩梅がむずかしいです。将来の進化に期待しつつ、当面は別な方法が中心になりそうかな。

4. マイ・ウェイ(トライ&エラー)

というわけで、私自身は「これが決定版」という方法にたどり着いていません。そのことをお断りしたうえで、私の現在の撮り方をご紹介して、この長いポストを終わりにします。

レンズはDistagon 15mmで前面にフィルターを着けられます。フィルターはプロテクターにラッカーを吹き付けた自作です。このセットでフィルター有りとフィルター無しで撮影し、前景はフィルター無し、星野はフィルター有りをメインにPhotoshopでマスク合成。周辺部の輝星が箒状上になっている部分については、ブラシツールであまり目立たないように仕上げます。下の1枚目はソフト・フィルターを前面に着けて撮った写真(現像上の細工はしていますが詳細は省略します)。2枚目はフィルター有り無しで撮ってマスク合成した写真。わかりにくいかもしれませんが、カペラやポルックス、カストルを見れば、完全ではないものの同心円状の滲みに近づいています。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

雲の切れ間に~大犬と八ヶ岳 (SEQUATORと雲について)

2019年2月2日 20時48分頃 
NIKON D810A AF-S 20mm F1.8G (F2.8) ISO 3200 露出10秒
星野部分は6枚をSEQUATORで合成し、前景はPHOTOSHOPで加算平均合成。
Software: Adobe Lightroom Classic & Photoshop

赤岳鉱泉にテント泊し、夕方から赤岩の頭に向けて登ったときに撮った星景写真です。稜線上は風の音がしていたので、赤岩の頭のすぐ下のルート上に赤岳方面の視界が開けたこの地点から撮影しました。この日は日中快晴でしたが、日没とともに雲が湧いてくる天気でした。1時間ほどかけてわずか3カットだけ撮りましたが、雲が増えて星の位置も変わってきたのでこれを最後に下山しました。大犬(シリウス)は八ヶ岳にとても似合うと思いました。

私は星景撮影でSEQUATORというソフトをよく使います。星像を固定しながら複数枚のファイルを重ね(スタックし)、高感度撮影に特有なノイズを減らす一方、地上風景もぶらさないという便利なソフトです。部分的に星像がうまく重ならないで線になってしまうことも時にありますが、フリーソフトなので文句を言ったら罰が当たりますね(笑)。 このカットでは、さすがに手前の木はうまく合成できないだろうと思いましたが、拡大しても問題ありませんでした。

さて、この便利ソフトですが、雲が多い時は少し悩みます。SEQUATORによって星と地上部は固定されても、雲だけは(上の写真では60秒分)流れて写るからです。不自然と思い始めれば、気になります。日周運動を長秒で撮っても雲はやはり流れて写りますが、星も線になるので不自然に感じません。

ちなみに、上の写真の星野部分を一枚撮りに差し替えたのが次の写真です。雲の形が10秒分だけ写っているため、目で見た感じに近いのはこちらの方。ISO3200くらいなら、ノイズ除去ソフトを使えばそんなにざらざらしていません。(もちろん、拡大して見ればSEQUATORを使った方がきれいですが。) どっちがいいのか、試行錯誤やケース・バイ・ケースで決めることになると思います。

 

星景写真におけるソフト・フィルター考①

このブログでも時々、写真撮影の機材や星景写真の撮影方法についても半ば備忘録的に書いていきたいと思います。私もいろいろな人のホームページを参考にさせてもらってきましたので、反面教師になることを含め、少しでも参考になれば幸いです。

撮影手法カテゴリーの第一弾は、星景写真におけるソフト・フィルター(ディフュージョン・フィルターとか、滲みフィルターとも言われますね)またはその代替手法について書きます。星景写真とは、星と風景を同一構図内に収めた写真、と定義して話を進めますね。

デジタルカメラで星を撮ると、星がとても小さく(鋭く)写ります。例えば、人間の目で見た時の「星がまたたく」なんて感覚は写真ではわかりません。しかも、暗い空に高ISOで撮ると肉眼では見えない星まで写るため、星座を構成する明るい星が埋もれてしまい、よくわからない写真になります。下の写真は西湖から見た冬の星座をソフト・フィルターなしで撮ったものです。星座をある程度知っている人でないと、星座をたどりにくいんじゃないでしょうか?

そこで、天の川とかを綺麗に写そうと思う時や日周運動を撮る時以外は、ソフト・フィルターを使って明るい星を目立たせることが多いのです。フィルターの前につける場合だと、ケンコーのプロソフトンAが定番のようですが、効果が1種類しかありません。Leeだと滲み加減が1番から5番まで選べます。(ただし、2番と4番はバラ売りがないようです。) これをポリエステル製なので丸く切ってレンズ・プロテクターに貼って使います。次の写真は、上と同じ構図でソフト・フィルター(Leeの3番)をレンズの前につけて撮ったものです。これだと輝星がはっきりして星座がわかりやすく、何よりもゴージャスになって絵が引き立ちますよね。

多くのサイトではここで解説終了です。でも、私がめざすのは「星は滲み、地上風景はくっきり」の星景写真なのでまだ終わりません。当然ですが、ソフト・フィルターをつけると星以外の部分も含め、画面全体が滲んでしまいます。上の写真を見ても、前景のボートや街灯がぼやけてしまっていますよね。で、いろいろやってみた結果、最近はソフト・フィルターをつけて撮った星空の部分とフィルターなしで撮った前景部分をPHOTOSHOP等を使って合成する手法に落ち着きました。それが下記の写真(昨年12月29日にアップしたもののオリジナル)です。「星は滲み、地上はくっきり」になっていると思います。

以前は(人によっては今も)合成手法を使った写真を認めない風潮が強かったようです。でも私は、「あり」だと考えます。合成手法を使った写真であることを明記し、それを理解したうえで鑑賞してくれる人に見てもらう、というスタンスです。ただし、合成する写真の間隔が長くなると、トリックと言われても仕方ないでしょう。そこでマイ・ルールとして、フィルターあり・なし写真を撮るときは概ね1~2分以内で一連の撮影を終えるようにしています。

とりあえず、今日はここまで。次回は、超広角レンズを使うときの星の滲ませ方について、私の試行錯誤した経過をご報告したいと思います。