駿河湾に沈む冬の大三角

2020年2月23日 23時08分頃 カメラ:EOS R(HKIR改造) レンズ:Sigma 14-24mm F2.8 (20mm、F2.8)  露出10秒 ISO 6400  ※「フィルターなし6枚」と「ソフト・フィルター(Lee 3)あり1枚+フィルターなし5枚」をそれぞれSEQUATORでスタックし、Photoshop、Lightroomで処理。

西伊豆で行ったEOS R(HKIR改造)テスト撮影の続きを載せます。

西伊豆から駿河湾に沈む冬の大三角。手前の明かりは宇久須の街並みです。

清水方面の光害がひどいですが、これはこれでありかと。
Flat Aide Proでレベル補正やカブリ補正を試みましたが、冬の天の川がはっきりしなくなったため、使わないバージョンを載せています。補正のやり方がいろいろありそうですが、星野写真の画角で今回のように明暗差が強いと、私の手には負えません。

2020年2月23日 22時45分頃
カメラ:EOS R(HKIR改造) レンズ:Sigma 14-24mm F2.8
(14mm、F3.2) 露出10秒 ISO 6400 
※「フィルターなし7枚」と「ソフト・フィルター(Lee 3)あり1枚+フィルターなし6枚」をそれぞれSEQUATORでスタックし、Photoshop、Lightroomで合成処理。街の部分には ISO3200、ISO1600で撮影したものを使用しています。

こちらは14mm、横構図で撮ったものです。

カペラが「箒」状になっていないのは、EOS Rのマウントアダプターでドロップインフィルターを使っているためです。手前と湾越しの街の光は、ソフトフィルターなしでくっきり。これがシステム変更に踏み切った最大の狙いでした。
ちなみに、ソフト・フィルターだけだとこんな感じになります。

こうして並べてみると、ソフト・フィルター有りの画像だけだと、街の明かりがつぶれて、肉眼で見た時と違いすぎるのがわかります。

人間の眼とは不思議なもので、星の部分はソフト・フィルター有り、それ以外はソフト・フィルターなしの画像を(特に記憶の中では)脳の中で自動的にブレンドしているような気がします。

それから、合成した時のソフト・フィルター効果の付け方には、試行錯誤して改善する余地がまだまだありそうですね。SEQUATORの「Enhance Star Light」をオンにすると、滲みは弱くなるみたいです。

EOS R + ドロップインフィルター による星景写真(テスト)

三連休中日の23日、西伊豆に出かけて新しく導入した星景写真撮影のシステムをテストしてきました。最近、日常がバタバタしているので更新に時間がかかるかもしれませんが、追々ご紹介していきます。

従来、カメラはニコンのD810Aを愛用し、レンズ前面にソフトフィルターを着けたショットで輝星を滲ませた写真とフィルターを着けずにクッキリ写した写真をPhotoshopで合成していました。

新しいシステムでは、キャノンのEOS R(←早田カメラさんでHKIR改造してもらいました)と「ドロップインフィルターマウントアダプター EF-EOS R」をセットで使い、レンズとカメラの間でソフトフィルターの着脱を行います。

D810Aには何の不満もなかったのですが、ソフトフィルターをレンズ前面に着けると、広角では画面周辺部で輝星が箒のように滲み、あまり美しくありません。また、魚眼レンズでは前面にフィルターをつけられないため、ソフトフィルターの有り無しで撮影することはできません。(ツァイスのDistagon 15mmなど一部の例外を除けば、14-15mmの超広角レンズでフィルターを着けられるものはありませんね。)

一昨年EOS Rが発売されたとき、ドロップインフィルターを使えるマウントアダプターが出るとアナウンスされました。キャノンが想定しているのは、NDフィルターや偏光フィルターの使用です。私は「クリアフィルターにLeeのソフトフィルターを貼り付ければ、箒問題は片付くし、魚眼でもフィルター着脱ができるんじゃないか?」と思いました。
でも、それを確かめるためには時間と費用が相当かかってしまいます。「誰かがテストしてくれないかなぁ」と思いながらネットで探していましたが、いつまで経っても見つけられません。とうとう我慢できず、自分でテストしてみることにしました。

ファースト・インプレッションは、「よし、いけそうだ」という感じでした。

魚眼レンズに新システムでLee3フィルターを着脱し、Photoshopで合成したものが冒頭の写真です。(ノイズを減らすため、Sequatorも使っています。)
前景や冬の天の川等はフィルター無しでシャープに、輝星は滲んで星座の形がわかりやすくなっています。
魚眼の場合はソフトフィルターがもう少し強くてもいいかもしれませんが、その辺はこれから改善していこうと思います。

これだけでは「何が良いの?」でしょうから、以下にフィルター無しの写真とフィルター有りの写真を載せておきます。

(フィルター無し)
(フィルター有り)

スマホで見る分には、フィルター有りの画像が一番メリハリがあるように思われるかもしれません。でも、画面全体にソフトフィルター効果がかかっているため、パソコンで拡大してみると、天の川などではシャープさの欠如が一目瞭然です。また、この前景ではわかりにくいですが、雪山などだとソフトフィルターを着けて撮った写真の前景は明らかにディテールが失われているのがわかります。

とりあえず、今日はここまでにします。

北斗七星と麦星

2019年3月2日 22時35分頃
カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8
絞りF3.2 露出15秒 ISO 4000
「フィルター有り6枚+フィルター無し1枚」と「フィルター無し7枚」をそれぞれSEQUATORでスタックした後、Photoshop&Lightroomで合成及び現像処理。

3月2日夜の続きです。

赤面山山頂の先から那須連峰と冬の星座を撮ったあと、後ろ(東)の空を振り返ると北斗七星と牛飼い座のアークトゥルスが昇ってきていました。「春遠からじ」を感じ、赤面山頂、白河の街明かりと共に撮ったショットです。

北斗の柄の部分のカーブを延長した先にある橙色の輝星(画面中央やや右下、山頂標識の上の方)が牛飼い座の1等星、アークトゥルス。ギリシャ語の意味は「熊を守る者」だそうです。北斗七星は大熊座の尻尾にあたるので、そのまんまですね。
1等星とは言うものの、本当の明るさは-0.05等。シリウス、カノープス、ケンタウルスαに次いで全天で4番目に明るい星になります。カノープスは見えても低空のため、日本から肉眼で見た時には、2番目に明るい恒星、と言ってよいでしょう。赤緯が高いので見えている季節も長いです。でも、そのわりに一般的な知名度はあまり高くないように思います。
アークトゥルスの和名は麦星と言います。麦の収穫時期(初夏)に宵の空で(南東方向に)明るく輝くからだとか。日本ではあまり麦を作らなくなったのでピンと来ませんが、日本人の農耕の歴史をほのかに伝えてくれています。ちなみに、このブログ・タイトルの写真で山の尖がりの上に写っている橙色の輝星もアークトゥルス。僕はとても好きな星です。
この夜からDistagon 15㎜のレンズ前面に着けるソフトフィルターを、プロテクターにラッカー吹き付けた自作から、Lee 3番の貼り付けに代えました。こちらの方が塩梅良いように感じます。(私の撮影・現像スタイルはこちら。)