EOS R + ドロップインフィルター による星景写真(テスト)

三連休中日の23日、西伊豆に出かけて新しく導入した星景写真撮影のシステムをテストしてきました。最近、日常がバタバタしているので更新に時間がかかるかもしれませんが、追々ご紹介していきます。

従来、カメラはニコンのD810Aを愛用し、レンズ前面にソフトフィルターを着けたショットで輝星を滲ませた写真とフィルターを着けずにクッキリ写した写真をPhotoshopで合成していました。

新しいシステムでは、キャノンのEOS R(←早田カメラさんでHKIR改造してもらいました)と「ドロップインフィルターマウントアダプター EF-EOS R」をセットで使い、レンズとカメラの間でソフトフィルターの着脱を行います。

D810Aには何の不満もなかったのですが、ソフトフィルターをレンズ前面に着けると、広角では画面周辺部で輝星が箒のように滲み、あまり美しくありません。また、魚眼レンズでは前面にフィルターをつけられないため、ソフトフィルターの有り無しで撮影することはできません。(ツァイスのDistagon 15mmなど一部の例外を除けば、14-15mmの超広角レンズでフィルターを着けられるものはありませんね。)

一昨年EOS Rが発売されたとき、ドロップインフィルターを使えるマウントアダプターが出るとアナウンスされました。キャノンが想定しているのは、NDフィルターや偏光フィルターの使用です。私は「クリアフィルターにLeeのソフトフィルターを貼り付ければ、箒問題は片付くし、魚眼でもフィルター着脱ができるんじゃないか?」と思いました。
でも、それを確かめるためには時間と費用が相当かかってしまいます。「誰かがテストしてくれないかなぁ」と思いながらネットで探していましたが、いつまで経っても見つけられません。とうとう我慢できず、自分でテストしてみることにしました。

ファースト・インプレッションは、「よし、いけそうだ」という感じでした。

魚眼レンズに新システムでLee3フィルターを着脱し、Photoshopで合成したものが冒頭の写真です。(ノイズを減らすため、Sequatorも使っています。)
前景や冬の天の川等はフィルター無しでシャープに、輝星は滲んで星座の形がわかりやすくなっています。
魚眼の場合はソフトフィルターがもう少し強くてもいいかもしれませんが、その辺はこれから改善していこうと思います。

これだけでは「何が良いの?」でしょうから、以下にフィルター無しの写真とフィルター有りの写真を載せておきます。

(フィルター無し)
(フィルター有り)

スマホで見る分には、フィルター有りの画像が一番メリハリがあるように思われるかもしれません。でも、画面全体にソフトフィルター効果がかかっているため、パソコンで拡大してみると、天の川などではシャープさの欠如が一目瞭然です。また、この前景ではわかりにくいですが、雪山などだとソフトフィルターを着けて撮った写真の前景は明らかにディテールが失われているのがわかります。

とりあえず、今日はここまでにします。

冬の赤岳

先週の土曜日(1月11日)、赤岳に登ってきました。
今年は暖冬ですが、一応厳冬期に赤岳に登頂したのは私にとって初めての経験。50代半ばで山に登り始め、目標にしていた「冬の赤岳」を還暦直前に達成できて素直にうれしいです。 “冬の赤岳” の続きを読む

硫黄岳に立つ北斗

2019年12月28日23時08分頃    カメラ:NIKON D810A レンズ:Nikkor AF-S 20mm F1.8G (F2.8) 露出6秒 ISO4000  ※ 「フィルター無し5枚」と「フィルター(Lee 5番・レンズ前面)有り4枚+フィルター無し1枚」をそれぞれSEQUATORでスタック。その後、FlatAideProでレベル補正、カブリ補正を行い、「フィルター無し基準画像1枚」も使用しながらPhotoshop & Lightroomで現像処理。

12月28日の夜に撮った星景写真を続けます。 “硫黄岳に立つ北斗” の続きを読む

南極老人星~赤岳に輝く

恭賀新年

2020年を迎えました。本年もよろしくお願いします。

2019年12月28日 23時24分頃  カメラ:NIKON D810A レンズ:AF-S 35mm F1.8(F2.8) 露出5秒 ISO4000   ※〈フィルターなし6枚〉、〈フィルター有り(Lee3)5枚+フィルター無し1枚〉をSEQUATORで合成。FlatAidePro(フラット補正)、Photoshop & Lightroomで現像。

新年の最初を飾るのは、昨年末に赤岩の頭から撮った一枚です。静寂と雪明りの中で赤岳の向こうにシリウスが煌々と輝くのを見ていたところ、赤岳の右側に赤い星が・・・。カノープスです。八ヶ岳越しに見えるとは思っていませんでしたが、赤岳と中岳の間のなだらかな窪みの空間に顔を出してくれました。 “南極老人星~赤岳に輝く” の続きを読む

冬の大三角~八ヶ岳に立つ

2019年12月28日22時23分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8(絞りF3.5) 露出10秒 ISO 5000  ※〈フィルターなし5枚〉、〈フィルター有り(Lee3)4枚+フィルター無し1枚〉をSEQUATORで合成。その後、FlatAidePro(フラット補正)、Photoshop & Lightroomで現像。

 

今月はインフルエンザに罹ったりして、山も星撮りもできない日々が続きました。仕事納め(27日)の翌日、赤岳鉱泉にテント泊してナイトハイクで赤岩の頭へ行き、今年最後の星景写真を撮ってきました。今年2月にほぼ同じ場所へ行ったので、今回が事実上2度目のトライになります。

気温は-10℃くらい、微風という好条件下で3時間ほど過ごしました。来年は仕事面で変化を迎えそうな予感のする中、山の神様とお星様に感謝と加護を祈って下山したのでした。 “冬の大三角~八ヶ岳に立つ” の続きを読む

初冬のカシオペア~八ヶ岳を見下ろす

2019年11月30日22時16分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8 絞りF3.5 露出15秒 ISO 6400 〈フィルターなし6枚〉、〈フィルター有り(Lee3)5枚+フィルター無し1枚〉、〈カペラ用光芒補正用フィルター有り(Lee3)5枚をSEQUATORで処理し、FlatAideProでフラット補正&カブリ補正。その後、Photoshop & Lightroomで処理。

前2回の続きです。今度は赤岳から左側方向、横岳や硫黄岳方面にカメラを振ってみました。

淡い秋の銀河の中、カシオペア(=左上、W字がさかさまになっています)からペルセウス(=画面真ん中上)からカペラ(馭者座の1等星=右上の輝星)が八ヶ岳の遥か上に輝いています。硫黄岳の上にポツンと光る2等星は北極星。横岳の左上の空間には北斗七星の柄杓の口部分の星2つが覗いています。

横方向では横岳の峻険さと硫黄岳の平坦さの対照、縦方向では天の北極付近の空間と秋から冬の天の川の対照と、2つのリズムが出ていればいいんですが。 “初冬のカシオペア~八ヶ岳を見下ろす” の続きを読む

文三郎尾根を昇るオリオン

前回に続き、行者小屋と八ヶ岳文三郎尾根の間で撮影した冬の星座をお届けします。

2019年11月30日23時35分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8 絞りF3.2 露出15秒 ISO 6400 トリミングあり。 〈フィルターなし6枚〉と〈フィルター有り(Lee3)5枚+フィルター無し1枚〉をSEQUATORで処理した後、Photoshop & Lightroomで合成及び現像。

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赤岳~宇宙荘厳

先週末、行者小屋でテントを張り、ナイトハイクして星景写真を撮ってきました。

赤岳主峰の頂上を冬の星座(おうし座、ぎょしゃ座、オリオン座、ふたご座)が昇っていきます。雪の白と岩の黒がまじりあい、山の峻険さを際立たせました。そして星は、凛として美しい。

D810Aのおかげで、カリフォルニア星雲、エンゼルフィッシュ星雲、M42、バーナードループ、バラ星雲、などの赤色ガス雲が思った以上にしっかり写っています。久々に満足のいく一枚となりました。

2019年11月30日23時21分頃
カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8
絞りF3.2 露出15秒 ISO 6400
※ 星野用にSEQUATOR〈フィルターなし6枚〉、SEQUATOR〈フィルター有り(Lee3)5枚+フィルター無し1枚〉、SEQUATOR〈フィルター有り(Lee3)5枚〉、SEQUATOR(カペラ用滲み補正)〈フィルター有り(Lee3)5枚〉、基準画像1枚をPhotoshop & Lightroomで処理。

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秋の星座~朝日岳(奥秩父)から

久しぶりに星景を撮りに行ってきました。三連休ですがやはり土日は晴れなさそうなため、金曜日に仕事が終わってから大弛峠へ行き、ナイトハイクで1時間、朝日岳の山頂直下から星空を楽しんだ次第です。何回かに分けてご紹介します。

沈みゆくペルセウス神話の星座たち

2019年11月2日 1時39分頃
カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8
絞りF3.2 露出15秒 ISO 6400
※SEQUATOR〈フィルターなし5枚〉、SEQUATOR〈フィルター(Lee3)有り4枚+フィルター無し1枚〉、基準画像1枚をPhotoshop & Lightroomで処理。

ギリシャ神話でペルセウスがペガサスに乗ってアンドロメダを助けだした話の主人公たちが西の空に沈んでいくのを超広角で1枚に収めました。もちろん、アンドロメダの美しさを自慢してポセイドンの怒りを買い、アンドロメダ姫を化けクジラの人身御供にしたカシオペア王妃も秋の天の川の中に写っています。 “秋の星座~朝日岳(奥秩父)から” の続きを読む

モザイク星景テスト②~左右(失敗)編

前回は15㎜で上下方向へ2構図、MicrosoftのImage Composite Editor(ICE)を使ってモザイク合成を試み、まずまずの結果が出ました。上下方向は星が動いても星同士をつなげばいいので難易度は低い、という予想が裏付けられた形です。

では、左右のモザイクはどうでしょうか? こちらは地上風景を入れた構図では撮影時間によって地上風景と星の位置関係が同一構図内で変わるため、難易度は上がるはず。それでも、ネットで見ているとICEがうまく処理してくれるという記事を見たので、「ICEなら何でも魔法のように解決してくれるのかな?」と期待してトライしてみました。

結果を先に言うと、失敗しました。ただし、今回のテストは撮影時からモザイク合成を意図したものではありません。2構図の撮影間隔は15分もあり、地上風景の高さがはっきりずれているという悪条件の下で行っています。次回はもっと撮影間隔を詰め、構図もほぼ水平に移動させてトライしたいと思います。

というわけで今回の記事は失敗の備忘録です。興味のある人だけお読みください。 “モザイク星景テスト②~左右(失敗)編” の続きを読む