東京湾に沈む夏の大三角(房総・伊予ヶ岳)

金曜日の夜、千葉方面は夕方から久しぶりに晴天が広がりました。日曜日には台風15号が直撃しそうだし、ワンチャンスにかけてみることに。

ラグビーWC前哨戦の日本対南アフリカをテレビで見た(南ア、本気でしたね…)後、南房総の伊予ヶ岳へ向かいます。伊予ヶ岳は標高336メートルの低山。調べてみたら、2013年1月に星を撮りにきたことがあります。(その時は、曇が多くて写真になってませんでした。)途中で1時間ほど仮眠し、1時から登り始めて南峰到着まで約40分です。山頂直下だけ、ロープ付きの急登がありますが、夜間でも特に危険はありませんでした。ただ、気温25度で湿度が高いこの時期、低山登りは暑いです。汗かきの私はシャツが絞れるくらい汗をかきました。

天文薄明まで2時間ほど星景写真を撮ったので、何回かに分けて紹介します。

2019年9月7日 2時13分頃   カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8(絞りF3.2)露出13秒 ※ISO 3200 星野用に「フィルター(Lee3)有り5枚」と「フィルター有り1枚+フィルター無し4枚」をそれぞれSEQUATORでスタックし、その後、前景用に「フィルター無し5枚」を加算平均したものと共にPhotoshop & Lightroomで処理。

到着した時、「夏の名残り」とも言える夏の大三角が東京湾に沈んでいくところでした。東京湾と星空の組み合わせは、私にはとても新鮮でした。左下の房総半島側の双耳峰は「南総里見八犬伝」の舞台となった富山(とみさん)です。

現像して拡大してみたら、画面中央の下寄り(アルタイルの右下)に富士山が写っていました。夜間登山の明かりも見えますね。

 

 

天の川と金魚

2018年7月14日21時46分頃         カメラ:NIKON D810A レンズ:AF-S 35mm F1.8(F2.8) 露出5秒 星野部はISO6400 フィルター無し12枚をSEQUATORでスタックし、Photoshop&Lightroomで現像処理。 空と地上の境界付近は1枚撮り、地上部は12枚の加算平均です。

先週末は一足早いお盆休みで広島に帰省していました。星の写真がないので、昨年7月に越後駒ケ岳へ行った時に撮った夏の銀河の蔵出し写真を載せさせてもらいます。 “天の川と金魚” の続きを読む

木星、土星、火星と銀河(2018年7月)

2018年7月14日21時16分頃 D810A Sigma 15㎜ Fisheye F2.8(F3.5 )ISO3200 露出15秒  星野部(5枚をSequator)、地上部(10枚をPhotoshopで加算平均)、境界部1枚をPhotoshopでマスク合成。

今朝、台風6号は三重県に上陸しました。で、今週末も家にいます。

手持ち無沙汰から昨年の同時期に越後駒ケ岳から魚眼で撮った写真を再現像してみました。今年の夏の星座は、昨年さそり座の右、てんびん座のあたりにいた木星が銀河の真ん中に来て土星がはじき出され、火星は全然違う場所(かに座としし座の間あたり)にいます。惑星を「惑う星」とはよく言ったものですね。 “木星、土星、火星と銀河(2018年7月)” の続きを読む

雪景色と銀河~15㎜による2枚

あと3週間くらい、諸般の事情で山にも星見にも行けない状態が続きます。
関東は梅雨空が続いており、晴れないことによるフラストレーションはありませんが、そもそも休めていないので別の意味のフラストレーションは募ります(苦笑)。
そこで本日は、今年4月に撮った写真の中から、まだアップしていなかった2枚を現像してみました。季節外れになりますが、広角15㎜で撮影した雪景色と銀河のコラボをご覧ください。

〈雪原の向こうに銀河〉
2019年4月13日 2時25分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8 絞りF3.5 露出15秒 ISO 5000   星野用に「フィルター(Lee3)有り4枚+フィルター無し1枚」と「フィルター無し5枚」をそれぞれSEQUATORでスタックし、その後、前景用に「フィルター無し5枚」を加算平均したものと共にPhotoshop & Lightroomで処理。
1枚目は、磐梯山火口壁の向こうに見える夏の銀河です。縦位置にして銅沼の凍結した湖面に降った雪面の割合を増やしました。コラボをご覧ください。

〈雪の荒沢岳と銀河〉
2019年4月29日 2時00分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8 絞りF3.2 露出15秒 ISO 6400    星野用に「フィルター(Lee3)有り4枚+フィルター無し1枚」と「フィルター無し5枚」をそれぞれSEQUATORでスタックし、その後、Photoshop & Lightroomで処理。

2枚目は、荒沢岳と夏の銀河です。越後駒ケ岳に行く途中から撮りました。早く夏山と星空に出会いに行きたいものです。

安達太良山火口壁と雲間の星

2019年6月1日 22時56分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8(F3.2) 露出13秒 ISO 3200  星野は1枚撮り、地上は7枚を加算平均してPhotoshopで合成。

関東は梅雨入りして今日も雨です。天気が悪いだけでなく、諸事情であと1か月ちょっとは星撮りできないため、二週間前の安達太良山(鉄山)星景をもう一度。 “安達太良山火口壁と雲間の星” の続きを読む

雲間の夏の大三角~鉄山避難小屋を昇る

2019年6月1日22時25分頃    カメラ:NIKON D810A レンズ:Nikkor AF-S 20mm F1.8G(F2.8) 露出10秒 ISO3200

前回と同じく、鉄山避難小屋に泊まったときの星景です。雲間の撮影で星景写真としては今一つですが、アップします。3枚を加算平均した前景と1枚撮りの星野をPhotoshopで合成しています。

さて、このブログでは俗世のことは書かないつもりなんですが、今日は例外。イーロン・マスク氏のスターリンク(Starlink)構想について少し書かせてください。

スターリンクとは、衛星を2020年代半ばまでに1万2千基(!)打ち上げ、インターネット等の利便性を高める計画です。先月、最初の衛星60基が打ち上げられたので、構想と言うより、もう現実になりつつあると言ってよいでしょう。

最初は、ふ~ん、と思ってただけでした。でも、衛星の数が半端ではなく、軌道も低いため、衛星が太陽光を反射して星座の形すらわからなくなりかねない、と知って大ショック。ドヨーンとした重い気持ちが続いています。

このStarlink構想、世の中では、「便利になるからいいことだ」という受け止めの方が多いと思います。僕にしても、山へ登って携帯がどこでもつながれば、遭難のリスクも減るに違いありません。メリットは確かにあります。でも、人類が太古から星を見て感じていた神秘に触れることがこれからできなくなる、というのはどうなんでしょう? 何か、人類はおそろしい領域に足を踏み入れているんかないか、という気すらしてきます。

イーロン・マスクを止める手立てはないし、万一、彼がやめてもほかの人がやるでしょう。でも、僕はStarlink計画には反対です。便利さのために星の美しさに触れる機会を奪われたくありません。単なる趣味人のわがままじゃないか、と言う声もあるでしょうが、僕ら星に興味を持つ者だけでなく、人類全体がStarlinkによって大切なものを失ってしまう、と思います。

衛星が光をまったく反射しなくなる技術が開発され、イーロン・マスクがその分野に予算をかけようと思わない限り、星景写真を撮る機会は近い将来、大幅に減ってしまうことでしょう。そんな日が来ることを畏れつつ、このブログを続けていきます。(なお、この件については、今後何か特別の進展がない限り、もう書きません。次回からはまた、純粋に星景写真と山の写真を載せていきたいと思います。)

雲間の春の星~鉄山避難小屋

2019年6月1日23時39分頃  カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8 (F3.2) 露出15秒 ISO 3200

先週末、福島県安達太良山山系の鉄山へ行ってきました。仕事や諸々の事情で7月末まで星撮りはできなさそう。そこで、快晴が望めないことは承知のうえ、「雲間の星でも撮れたらいい」と自分に言い聞かせての撮影行でした。

野地温泉から鬼面山、箕輪山を越えて鉄山避難小屋へ到着したのが18時過ぎ。先客が3名おられました。予想どおり雲が多かったですが、22時頃から2時間ほど撮影しました。

この写真は最後に撮ったカット。鉄山避難小屋と北斗七星、アークトゥルスを記念写真のつもりで撮りました。左手奥に磐梯山のシルエットが写っています。

雲が多かったのでいつものSEUATORは使わず、Nik CollectionのDfineでノイズを除去。前景は6枚を加算平均してノイズ除去とディテールの両立を図りました。なお、ディフュージョン・フィルターは使っていませんが、雲が天然フィルターとなって星は滲んでくれました。

鉄山避難小屋からだと、鉄山に遮られて安達太良山は見えません。そこで翌朝(日曜の朝)、鉄山まで足を延ばして安達太良山を見てきました。安達太良山はこの角度から見るのが僕は一番好きですね。

印象・月の出と夏の大三角

2019年4月29日 2時30分頃
カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8 (絞りF3.2) 露出15秒 ISO 6400 星野用に「フィルター(Lee3)有り8枚+フィルター無し1枚」と「フィルター無し9枚」をそれぞれSEQUATORでスタックし、その後、Photoshop & Lightroomで処理。

またまた、GWに越後駒ヶ岳で撮った写真から。

東の空に夏の大三角と天の川をねらって撮っていたら、どうも山の向こうが赤く明るい。「こんなところでも随分光害があるんだな・・・」と思っていたら、お月さんでした。

題名はモネの「印象・日の出」をもじって。月の出にもかかわらず、天の川、暗黒星雲、北アメリカ星雲などがしっかり写ってくれて嬉しい誤算でした。

 

越後駒ヶ岳とアークトゥルス、スピカ

2019年4月29日 2時17分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:Zeiss Distagon 15mm F2.8 絞りF3.2 露出15秒 ISO 6400 星野用に「フィルター(Lee3)有り8枚+フィルター無し1枚」と「フィルター無し9枚」をそれぞれSEQUATORでスタックし、その後、Photoshop & Lightroomで処理。

今月は星景撮影には行けなさそうな感じです。ブログの更新も諸事情で遅れています。そういうわけで、今日あげるのはまたまた4月29日に越後駒ヶ岳で撮った写真です。

真ん中やや右の橙色の星がアークトゥルス(牛飼い座の1等星)、越後駒の上に輝く青白い星がスピカ(おとめ座の1等星)になります。星座としては、牛飼い座とおとめ座のほか、かんむり座、てんびん座、かみのけ座などが写っています。越後駒が少し赤いのは、月の出が間近だったせいでしょうか?

春の星座はやっぱり地味ですね。1等星(アークトゥルス、スピカのほかに獅子座のレグルスがあります)が少ないせいだと思っていましたが、考えてみれば、秋の星座(=フォーマルハウトのみ)よりは多いんです。春は2等星が少ないのか、はたまた、秋のようにギリシャ神話的なストーリーに乏しいせいか、とか考えてみましたが、よくわかりません。それはさておき、春の星座は地味でも味わい深い、と思えるようになったこの頃です。

今日は日帰りで尾瀬の燧ケ岳へ行ってきました。カメラを車の中に置き忘れたため、俎嵓(まないたくら)からスマホで撮った柴安嵓の写真をご紹介します。左手に至仏山と尾瀬ヶ原が見えています。カメラを忘れて(小型)三脚だけザックに付けて歩いた愚か者ですが、雪の柴安嵓に登れたのはちょっとうれしかったです。

越後駒 さそり座2態

<荒沢岳と夏の銀河>

2019年4月29日 1時20分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:AF-S 35mm F1.8(F2.5) 露出6秒 ISO6400 「フィルター(Lee3前面)有り7枚+フィルター無し1枚」と「フィルター無し9枚」をそれぞれSEQUATORでスタックした後、Photoshop&Lightroomで現像処理。

前回に引き続き、越後駒ヶ岳の手前から撮った星景です。今回はさそり座を35㎜で撮った2つの写真を紹介します。

1枚目は、月が出る前に荒沢岳(左下)を借景したさそり座~射手座~たて座の銀河です。真ん中の大きな輝星は木星、左下の輝星は土星になります。当日はこの時間まで雲があり、左上に写っている黒い雲が流れて行ったあと、しばらく快晴になりました。

それにしても、暗い空だとこんなに銀河写るんですね。昔はフィルムカメラ(ASA400)を望遠鏡に載せ、手動ガイド15分でもここまで写ったかどうか? それが今は、固定撮影の6秒露出(ISO6400)を重ね、ソフトウェアを使うと地上風景も止まって写るなんて! 「もうすぐ人口流星群が実用化される」なんていうニュースを見ると顔をしかめてしまいますが、私も技術の進歩の恩恵を受けていることは間違いない事実です・・・。

<月照らす中岳、兎岳と木星、蠍>

2019年4月29日 3時8分頃 カメラ:NIKON D810A レンズ:AF-S 35mm F1.8(F2.8) 露出6秒 ISO6400 星野用に「フィルター(Lee3前面)有り8枚+フィルター無し1枚」と「フィルター無し9枚」をそれぞれSEQUATORでスタックした後、Photoshop&Lightroomで現像処理

2枚目は月が出て、薄明が始まる直前のさそり座を撮った写真です。右の山は中岳、左は兎岳(多分?)。

月光が雪面に映す自分の影を見ながらシャッター音を聞き、蠍を見上げては宇宙の神秘を思いました。