前2回の続きです。今度は赤岳から左側方向、横岳や硫黄岳方面にカメラを振ってみました。
淡い秋の銀河の中、カシオペア(=左上、W字がさかさまになっています)からペルセウス(=画面真ん中上)からカペラ(馭者座の1等星=右上の輝星)が八ヶ岳の遥か上に輝いています。硫黄岳の上にポツンと光る2等星は北極星。横岳の左上の空間には北斗七星の柄杓の口部分の星2つが覗いています。
横方向では横岳の峻険さと硫黄岳の平坦さの対照、縦方向では天の北極付近の空間と秋から冬の天の川の対照と、2つのリズムが出ていればいいんですが。
さて、行者小屋にテン泊して文三郎尾根に上がって撮影した星景写真はこれでお仕舞いです。実は、ほかにも20㎜(AF-S Nikkor 20mm 1.8G)で数カット(赤岳とオリオン、阿弥陀とペガススなど)撮ってはいたのです。でも、家に帰ってパソコン画面を見たら大ショック! すべてピンボケでした。
以下は星景写真に興味のある方でないと意味が通じないと思いますが、備忘録的に記しておきます。
実は20㎜で撮るとピントが甘いことがあったので、今回は対策を取ったつもりでした。まず、クロスフィルターを使ってピントの山をつかむ。そしてパーマセルテープでピントリングを固定する――。これで完璧だと思っていました。
実際、ピント合わせをしてテープで固定した次の1枚は大丈夫でした。ところが、その次のカットからなぜか、すべてピンボケ。
構図合わせの時に厚手の手袋が当たったのか、低温のためにテープの粘着力が下がっていたのか、確たる原因はわかりません。しかも、普段なら時々ピント・チェックするんですが、この夜は「テープで固定したので大丈夫」と思いこんだため、やらず。結果、20㎜で撮ったカットは全滅でした。
この大失敗を受け、対策を考えました。Distagon15㎜はピント・リング一杯で無限遠に合うのでいいとして、問題は20㎜です。
20mmによる撮影は、D810のライブビューで最大倍率にして(さらに拡大鏡を使って)覗いてみても、LV画面の素子の粗さと星のゆらめきが重なってしまい、ピントの山がつかみにくい。さらに、最近のAFレンズの常としてピントリングが動きやすい。
突き詰めれば、地道にピントを合わせ、極力ピント・チェックを繰り返すしかありません。が、その度にクロスフィルターを着けたりはずしたり、では撮影の効率が下がります。
自宅ベランダで試したところ、ライブビューの倍率を最大にしない方が、輝星のピントの山がわかりやすいだけでなく、暗い星が浮かび上がってきて、いい感じだということがわかりました。
また、撮影した画面をライブビュー拡大してチェックすれば、ピンボケ時は同心円状になって十分に点検できそうです。
クロスフィルターを使わないで撮影前にピントを正確に合わせたうえで、撮影画像のピント・チェックを時々行えば、失敗の可能性は相当減らせるはずです。
最後に、翌朝のマイ・テントと横岳の写真を載せておきます。テント内は午前1時でマイナス11℃、午前7時でマイナス7℃。ちなみに、土曜日の日中、日が当たっている時はプラスになってました。
長々とご覧いただき、ありがとうございました。